田舎の暖房、薪ストーブにして後悔した話と今思うこと
田舎移住を考えたとき、「薪ストーブのある暮らし」に憧れた方は少なくないと思います。かく言う私もそのひとりでした。でも実際に使い始めてみると、想像と現実のギャップにけっこう戸惑いました。薪ストーブと灯油ストーブ、田舎暮らしではどっちがいいのか——10年前に30歳で地元の山間部にUターン移住し、今も試行錯誤しながら暮らしている筆者が、うまくいかなかったことも含めて正直にお伝えします。どちらが正解かを押しつけるつもりはありませんが、読み終えたころには「自分ならどうするか」が少し見えてくるはずです。
憧れだけで薪ストーブを選んだ、最初の冬
移住が決まったとき、真っ先に「薪ストーブを入れよう」と思いました。山間部の古民家風の家に、ゆらゆら揺れる炎。絵になるし、なんとなく「本物の田舎暮らし」っぽい。そんなイメージだけで決めてしまったのが、最初の失敗でした。
薪ストーブの導入にかかるコスト、設置工事の大変さ、そして何より「薪の調達」という現実を、移住前はほとんど考えていませんでした。田舎だから薪は手に入りやすいだろう、と思っていたのですが、使える状態になるまでに1〜2年の乾燥期間が必要だということも、住んでから知りました。
幸いにも、私は実父と近くに住んでおり、薪の調達について相談したところ、親戚の山で切り倒したままになっている木をもらえることになりました。ただ、最初の年の薪は乾燥されていなかったため、せっかく買った新品のストーブがススだらけになってだいぶショックを受けた記憶があります。
1年目からしっかりと乾燥した薪を用意する、調達先の計画をたてておくのはマストと言っていいでしょう。
灯油ストーブに切り替えて気づいた「ラクさ」の価値
薪ストーブを続けながらも、サブとして灯油ストーブも使い始めたのは移住から数年が経ったころです。朝起きてすぐに部屋を暖めたいとき、子どもが急に熱を出した夜、疲れて帰ってきた日——そういうときに、スイッチひとつで動く灯油ストーブのありがたさを、身に染みて感じるようになりました。
薪ストーブは火がつくまでに時間がかかりますし、燃焼中は目を離せない場面もあります。「手間を楽しめる余裕があるとき」には最高の暖房ですが、毎日のこととなると、それなりに体力と時間を使います。特に共働きで子どもがいる家庭には、そのあたりの現実を事前に知っておいてほしいと思います。
薪ストーブを「やめなかった」理由も正直に書いておく
とはいえ、私は薪ストーブを手放していません。不便な点がいくつもあると書いておきながら矛盾しているようですが、それでも続けているのには理由があります。
薪ストーブの暖かさは、灯油やエアコンとは質が違います。じんわりと部屋全体が温まる感覚、炎を見ているときの落ち着き感、そして「自分で薪を準備した」という小さな達成感。移住後の暮らしの中で、こういった感覚は思っていたより大切なものになりました。
田舎での暮らしは、何かと「手間がかかる」ことが多いです。でもその手間が、逆に生活のリズムをつくってくれることもある。薪ストーブはその代表格だと、今は思っています。
私の場合は、子どもと薪ストーブで焼き芋を作ることにはまり、何度も挑戦しています。そのたびに、蒸かした芋とは全く違う味わいを感じられ、最高においしいです。
薪ストーブはすぐに暖かくはなりませんが、気持ちの面での暖かさは何にも代えられませんよ。
今ならこうする——移住前の自分に伝えたいこと
10年経って振り返ると、「最初から両方持っておけばよかった」というのが正直な結論です。薪ストーブをメインに据えつつ、灯油ストーブをサブで用意しておく。この組み合わせが、山間部の寒さにも生活の変化にも対応しやすいと感じています。
もし移住を検討している方が「どっちがいいか」と迷っているなら、まずいくつかの点を自分に問いかけてみてください。
- 薪の調達・保管・管理に時間と体力をかけられるか
- 朝晩のルーティンに「火をおこす手間」を組み込めるか
- 子どもが小さい、共働き、介護中など、余裕が読めない状況にないか
- 薪ストーブの導入費用(設置工事含む)を最初に出せるか
憧れは大切ですが、憧れだけで選ぶと最初の冬に後悔する可能性があります。私がそうでした。
ちなみに薪ストーブの設置費は工事費も入れて80万円くらいだったと記憶しています。私の場合は最初から設置しましたが、後付けだと金額も変わるかもしれません。
灯油ストーブは「すぐに暖まりたい!」という時や「ちょっと暖まりたい」時に便利なので、両方備えるのがベターと思います。
おわりに
田舎暮らしの暖房選びは、正解がひとつではありません。家の構造、家族構成、仕事のスタイル、そして「どんな暮らしをしたいか」によって、答えはかなり変わってきます。
私自身、最初は失敗もしましたし、今もすべてうまくいっているわけではありません。それでも、試行錯誤しながら自分の暮らしに合った形を見つけていく過程が、田舎移住の醍醐味でもあると感じています。
薪ストーブと灯油ストーブ、どっちがいいか——この記事が、あなた自身のケースで考えるきっかけになれば嬉しいです。





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