田舎移住して後悔した点を正直に話します【Uターン経験者の本音】

「田舎暮らしに憧れているけど、実際どうなんだろう」と、なかなか一歩が踏み出せずにいませんか。インターネットで検索すると、移住の成功体験や豊かな自然の写真ばかりが並んでいて、リアルな失敗談や後悔の声はなかなか見つからないものです。この記事では、2015年に山間部へUターン移住し、現在40代になった私が、「正直に言えば、ここは後悔した」と感じた点を包み隠さずお伝えします。私自身は田舎育ちで、地域の文化や不便さをある程度知ったうえで移住を決めましたが、それでも想定外のことはたくさんありました。「失敗談を知ることで、自分なりの判断材料にしたい」という方に、少しでも役立てれば嬉しいです。

① 「地域のつながり」は温かくもあり、重くもある

田舎に戻って最初に実感したのが、地域コミュニティの密度の濃さです。都市部で暮らしているとご近所との関係がほぼないことも多いですが、山間部ではそういうわけにはいきません。回覧板、自治会、神社や公民館の行事……移住直後から、思っていた以上に地域の活動に参加することを求められました。

これは「温かさ」の裏返しでもあるのですが、正直なところ、最初の数年は「自分の時間がない」と感じることが少なくありませんでした。特に子どもが小さかった時期は、週末のたびに何かしら地域の集まりがあり、家族でゆっくり過ごす時間が思うように取れないこともありました。

田舎育ちの私でも戸惑ったくらいなので、都市部から新規移住する方は、この「地域とのつきあい方」を移住前にもっと具体的にイメージしておいたほうがいいと感じています。「どの程度の関与が求められるのか」を、候補地の自治会や移住相談窓口に事前に聞いておくことをおすすめします。

② 車の維持費と移動コストは想定より大きかった

「田舎は物価が安い」というイメージがあるかもしれませんが、車にかかるコストは都市部より確実に大きくなります。我が家では、移住後に車が1台から2台になりました。夫婦それぞれが別の方向に動く必要があることも多く、1台ではどうにもならない場面が頻繁にあったからです。

車の購入費用だけでなく、保険・車検・ガソリン代・タイヤ交換(冬はスタッドレスが必須)……これらを年間でならすと、けっこうな金額になります。移住前の家計シミュレーションで「家賃が安くなるから生活コストが下がる」と計算していたのですが、車2台分の維持費を加えると、思ったほど家計が楽にはなりませんでした。

これは、特に「電車やバスで生活していた」という都市部出身の方には盲点になりやすいポイントだと思います。「田舎に引っ越したのに、なぜかお金が貯まらない」という感覚が出てきたとき、その一因は車コストである可能性が高いです。

③ 仕事の選択肢が少なく、キャリアの選択肢が狭まる

私は移住前にSEとして働いていましたが、地元の山間部ではIT系の求人はほとんどありませんでした。移住後は地元で新しい仕事に就き、それ自体に後悔はしていませんが、「もし転職したくなったときに選べる仕事が少ない」という閉塞感は、今でもときどき感じます。

リモートワークが普及した現在は以前よりも状況が変わっていますが、それでも「選べる職種や会社の数」は都市部と比べると圧倒的に少ないのが現実です。移住を検討している方、特にまだキャリアのど真ん中にいる40代の方は、「仕事はどうするか」を最優先で具体的に固めておくことが大切だと感じています。

「なんとかなる」で動いてしまうと、後から選択肢の少なさに焦りを感じる場面が来るかもしれません。私がそうでした。

④ 冬の生活環境の厳しさを甘く見ていた

実体験として特に印象に残っているのが、移住後に初めて迎えた冬のことです。山間部育ちなので「雪くらいわかってる」と思っていたのですが、子ども2人を連れての生活の中での冬は、独身時代や子どものいない頃とは別物でした。

雪かきは朝早くから体力を使います。道路の凍結で子どもの送り迎えが毎日緊張の連続になります。灯油代は月によっては想定の倍近くなることもありました。「自然が豊か」という言葉の中には、「自然の厳しさとも向き合う」という意味が含まれていることを、改めて体で実感しました。

これは後悔というより「覚悟が足りなかった」という表現のほうが正確かもしれません。でも、移住を考えている方には「冬の生活費と体力コスト」をしっかり見積もってほしいと思っています。

⑤ 「慣れ」と「諦め」の境界線が曖昧になる

10年近く暮らしてきて、今の生活を嫌いではありません。でも正直に言えば、「これは慣れたのか、それとも諦めたのか」と自問することがあります。不便さ、選択肢の少なさ、コミュニティの重さ……それらと折り合いをつけながら日々を過ごしていると、ある時点から「まあ、こういうものだ」という感覚になっていきます。

それが「田舎暮らしに馴染んできた証拠」なのか、「不満を感じないようにしているだけ」なのか、自分でも判断しにくい部分があります。移住を考えている方には、「慣れたとしても、根本的な生活スタイルの変化は続く」という前提で、じっくり覚悟を整えてほしいと思っています。

ちなみに、実際に引っ越しをする際は、引越し屋で複数社の費用をまとめて比較しておくと、予想外の出費を抑えやすくなります。

まとめ

田舎移住に後悔しているか、と聞かれれば、「全部ひっくるめてよかったと思っている」というのが正直な答えです。ただ、「後悔した点がない」かというとそれも嘘になります。地域のつきあいの重さ、車コストの大きさ、仕事の選択肢の少なさ、冬の厳しさ、そして「慣れ」と「諦め」の境界線——これらは、移住前にもっとリアルに想像しておけばよかったと感じるポイントです。

移住は「生活をまるごと変える」選択です。明るい面だけでなく、こうした現実の側面も事前に知ったうえで、ご自身の状況に引き寄せて考えてみてください。この記事が、あなたの判断材料の一つになれば嬉しいです。