元SEのスキルは地方の仕事で役立つ? 移住した私の正直な答え

「都市部でSEとして働いてきたスキルは、地方に移ったら使えなくなるんじゃないか」——移住を考えたとき、私もそう思っていました。でも実際に移住して仕事を始めてみると、思いがけない場面でSE時代の経験が役に立つことがありました。この記事では、2015年に山間部へUターン移住した元SEの私が、地方での仕事においてITスキルがどんな場面で活きたか、逆に思っていたのと違ったこと、正直に書いていきます。「転職やキャリアチェンジを考えているけれど、今のスキルが地方で通用するか不安」という方に、少しでもリアルなイメージを持っていただけたら嬉しいです。

プログラミングの知識って、地方でも使うの?

移住前、私が一番気になっていたのはこの点でした。山間部にエンジニア職があるわけでもなく、地元で新しい仕事に就いた私には、毎日コードを書くような機会はほぼありません。その意味では「スキルが直接活きる」とは言えませんでした。

ただ、まったく無意味だったかというと、そうでもないんです。たとえば、Excelの関数やマクロを使って業務を整理したり、データを見てざっくりとした傾向を読み取ったりする場面では、SE時代の感覚がそのまま使えました。地方の職場では、こういった「ちょっとしたIT処理」ができる人が意外と少なかったりするので、ニッチな強みになることはあります。

ただし、「SEだから重宝される」と期待しすぎるのは禁物です。職場の環境や規模によって全然違いますし、私自身、最初はその差に戸惑いました。

まさに「パソコンに詳しい人」ということで、Excelの関数などの基本的なことから、セキュリティに関することまで幅広い質問が飛んできました。私の意識的にしたのは、どんな質問でも面倒くさがらず、笑顔で答えたことです。

時には解決しないこともありましたが、「自分のために時間を使ってくれた」と感じてもらうことが、新しい職場での信頼を得ることに繋がりました。

ロジカルに考える習慣って、地方でも通じるの?

SE時代に染み込んだ「問題を分解して考える」「手順を整理してから動く」という思考の癖は、業種を問わず使える気がしています。地方の職場でも、何か課題が起きたときに「原因は何か」「どこから手をつけるか」を整理する視点は、それなりに重宝される場面がありました。

一方で、地方の職場には「長年の慣習」や「なんとなくそうなっている」という文化が残っていることも多く、ロジックだけで話を進めようとすると摩擦が生まれることもあります。「正しいことを言っているのに、なぜか空回りする」という経験を、移住後しばらくの間は何度かしました。スキルとして持っておくのは強みですが、使い方やタイミングの見極めは別の話、というのが正直なところです。

情報収集・ドキュメント整理の能力は地方でも活きる?

これは、私の中で「意外と地味に役立った」と感じているスキルです。SE時代は仕様書や議事録を書くことが日常でしたが、地方の職場ではそういった文書化の習慣が整っていないケースも多く、「誰がいつ何を決めたかわからない」という状況がたまに起きていました。

そういった場面で、自然と情報を整理したりメモをまとめたりする習慣が役立つことがあります。特別なスキルというよりは「当たり前にやっていたこと」が、場所を変えると強みになる——そういうことは、移住後に実感することが多かったです。

仕事の仕方、例えばタスクをパソコン内で整理しながら仕事をするというのも、職場によってはしている人が少ないので、私の場合は重宝されました。新しい働き方を提供できたことも、「この人を雇ってよかった」と会社側に感じてもらうことに繋がりました。

IT系の副業・在宅ワークって、地方移住後も現実的?

「SEとして培ったスキルで、移住後も副業や在宅ワークができるのでは」と考える方も多いと思います。実際、私の周囲でも移住後にフリーランスとして仕事を続けている元エンジニアの知人はいます。ただ私自身は、移住後に地元で新しい仕事に就いたこともあり、IT系の副業はほとんどしてきませんでした。

ですので「地方移住後もITスキルで副業できます」と断言するのは正直に言って難しいです。ただ、環境さえ整えば選択肢としてはあり得ると思いますし、移住前に副業の実績をある程度積んでおくのは現実的な準備として有効だと感じます。自分のケースに引き直して考えるときに、「職場に依存しない収入の柱を移住前に作っておけたかも」という思いは、今でも少しあります。

おわりに

元SEのスキルが地方で役立つかどうか、一言で答えるなら「場面によっては確かに役立つけれど、過信も過小評価も禁物」というのが私の実感です。プログラミングそのものが毎日使えるわけではないにしても、論理的に考える習慣や情報を整理する力は、業種を超えてじわじわと役立つことがあります。

一方で、地方の職場や地域社会には、スキルとはまた別の「馴染み方」が必要な部分もあります。キャリアチェンジの不安は尽きないと思いますが、「今持っているものが完全に無駄になる」とは考えなくてよいと、移住から10年近く経った今は思っています。地方での仕事に不安を感じている方の参考に、少しでもなれたら嬉しいです。