結婚がきっかけでUターン移住を決断した理由【実体験】

「結婚を機に地元へ戻ることも考えているけれど、本当に正解なのかどうか、踏み切れない」――そんな気持ちを抱えている方は、意外と多いのではないでしょうか。転職・生活環境の変化・人間関係のリセット。Uターンには不安な要素がいくつも重なります。この記事では、2015年に30歳で結婚を機に山間部へUターン移住した私自身の経験をもとに、決断にいたるまでの思考プロセスや、「ここが分岐点だった」と感じるポイントを正直にお伝えします。完璧な答えは出せませんが、同じように迷っている方が自分のケースに置き換えて考えるヒントになれば、うれしいです。

チェックポイント①「結婚」と「Uターン」を同時に決めようとしていないか

私が最初に引っかかったのは、ここでした。結婚の話が具体的になった時期に、妻の地元でもある私の故郷への移住も同時に検討し始めたのですが、気づけば「結婚の不安」と「移住の不安」がごっちゃになっていたんです。

正直に言うと、当時のSEとしての仕事はそれなりに安定していて、都市部での生活にも慣れていました。「今の仕事を手放していいのか」「田舎でやっていけるのか」という不安と、「パートナーと一緒に故郷で暮らしたい」という気持ちが混在して、頭の中が整理できなかった時期があります。

振り返ると、まず「結婚についてどう思うか」と「移住についてどう思うか」を別々に考える時間を取ることが大事だったと思います。2つの大きな決断を一緒に処理しようとすると、どちらも中途半端になりがちです。それぞれの軸でいったん整理してみると、不安の正体が少しはっきりしてきます。

チェックポイント②「なぜ地元に戻りたいのか」を言語化できているか

Uターンを考えるとき、「なんとなく地元がいいかな」という感覚だけで動くのは、後で後悔しやすいと感じています。少し厳しい言い方になりますが、移住後の生活は思った以上に現実的です。便利さや選択肢は確実に減ります。それでも「戻りたい理由」が自分の言葉でちゃんと語れるかどうかは、判断材料として重要だと思います。

私の場合、移住を決めた理由の一つに「親の将来」がありました。両親ともに地元に住んでいて、年齢を重ねるにつれて距離が気になり始めていたんです。結婚のタイミングが重なったことで、「今動かなければ、もっと動きにくくなる」という感覚がありました。これは誰にでも当てはまる理由ではないと思いますが、自分にとっては具体的で、後から「あのとき戻ってよかった」と思える根拠になっています。

「親のそば」「自然の中で子育て」「地域とのつながり」など、理由は人それぞれでいいと思います。ただ、「なぜ?」を少なくとも一つ、自分の言葉で言えるかどうかは確認しておいてほしいポイントです。

チェックポイント③パートナーと「生活の具体的なイメージ」をすり合わせているか

これは声を大にして伝えたいことです。移住後の暮らしについて、お互いの「具体的なイメージ」をちゃんとすり合わせておくことは、思っているより重要です。

私と妻は同じ地元出身で、「山間部の暮らし」に対して似たようなベースがあったので、この点では比較的スムーズでした。ただ、それでも細かい部分でのすれ違いはありました。たとえば「車がないと何もできない生活」への慣れ方、近所づきあいの密度への感覚の違いなど。出身が同じでも、育ってきた家庭環境によって「田舎の暮らし」のイメージは微妙に違うものです。

都市部出身のパートナーとUターンを考えている場合は、さらに丁寧なすり合わせが必要だと思います。「自然豊かでのびのびした暮らし」というポジティブなイメージだけでなく、「不便さ・孤独感・人間関係の濃さ」についてもリアルに話し合える関係かどうかが、移住後の生活を大きく左右すると感じています。

チェックポイント④「仕事をどうするか」は移住前に方向性を決めておいているか

移住後の仕事については、正直、私も完全に準備万端だったわけではありません。元々SEとして働いていたので「リモートワークで続けられるかも」と漠然と考えていた時期もありましたが、当時はまだ今ほどリモートワークが一般的ではなく、移住後に地元で新しい仕事に就くことになりました。

結果的にはそれがうまくいきましたが、仕事の見通しが曖昧なまま移住したことで、最初の1〜2年は精神的に落ち着かない部分もありました。収入・やりがい・将来性――どれかが大きく変わるのは仕方がないとしても、移住前に「どんな働き方を目指すか」の方向性だけは決めておくと、移住後の生活が少し安定しやすいと思います。

今はリモートワークの選択肢も広がっているので、以前より仕事の選択肢は多いはずです。ただ、「なんとかなる」と思って動くと、意外と「なんとかならない」ことも山間部では起きます。楽観的すぎず、かつ悲観的になりすぎず、現実的に考えておくのがいいと思っています。

チェックポイント⑤「決断できない自分」を責めすぎていないか

最後に、少し視点を変えたことを書かせてください。

Uターンを迷っている方と話すと、「なかなか決断できない自分がダメなのかな」と感じている方が少なくないような気がします。でも、そこまで責めなくていいと思っています。大げさではなく、住む場所と仕事を同時に変えるのは、人生の中でもかなり大きな決断です。すぐに決められないのは、むしろ真剣に考えている証拠だとも言えます。

私も決断するまでに何度も「やっぱり無理かな」「もう少し都市部にいようか」と揺れた時期がありました。それでも最終的に動いたのは、「今動かないと、ずっと動けない気がする」という、少し後ろ向きな動機も正直ありました。きれいな理由だけで移住を決める人ばかりではないと思います。

完璧なタイミングや条件が揃うことを待ち続けると、何も変わらないまま時間が過ぎていくこともあります。「完璧でなくてもいい、方向性さえ決まれば動ける」くらいのスタンスで考えてみると、少し楽になるかもしれません。

まとめ

結婚をきっかけにUターン移住を考えるとき、迷いや不安が生じるのは当然のことだと思っています。この記事では、私自身の経験をもとに、決断前に確認しておきたい5つのチェックポイントをお伝えしました。

  • 結婚の不安と移住の不安を分けて考える
  • 「なぜ地元に戻りたいか」を自分の言葉で言えるか確認する
  • パートナーと生活の具体的なイメージをすり合わせる
  • 仕事の方向性は移住前に決めておく
  • 決断できない自分を責めすぎない

Uターン移住に「正解」はないと思いますが、少なくとも私は10年近く経った今も、あのとき動いてよかったと感じています。この記事が、同じように悩んでいる方の小さなヒントになれば幸いです。